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いきおい、自分の担当部門に注力し、常務会においても自分の担当部門の利益代表のような意識をもちがちである。
企業の縦割り組織の弊害は、取締役の担当制にあると、H氏は考えた。 これは企業統治論がまださかんではなかった当時にあって、時代を先取りした問題意識であったと言わねばならない。
H氏自身「重役は何もしなくていい。 おれもそれでやってきた。
何もないゼロのなかから、どうあるべきかという問題を探すのが重役の役目で、日常業務を片付けるのは部長以下の仕事だ。 (中略)だから、役員は全部こっちへ来て、何もないところからどうあるべきかを探してほしい」と私はいったんです。
そうしたら、長い間工場にいたから本社に来てもしょうがないとか、やれいままでは経理をいじっていたとか、資材だ、営業だと、いろいろなことをいうわけです。 それまでは部下も大勢いたのに、役員全体に女性秘書2人ほどの生活になって、かなり不満だったようです。
とにかく、みんなで大部屋に入って、毎日ムダ話をしていてほしい、といってるうちに、いろいろなことが出てきます。 それは重役の共通の話題です。
主体性を欠いた集団指導体制、これは、時代に先がけて、取締役から業務執行機能を分離したものであったと言える。 「日常業務を片付けるのは部長以下の仕事」となれば、取締役は全社的な経営課題を第一に考え、共有することができるであろう。

彼らが「ワイワイガヤガヤ」雑談するところから、これは「ワイガヤ」と呼ばれ、Hの企業統治のシンボルとなった。 しかもH氏は、大部屋に集合させた取締役達に、輪番制で労政担当をさせている。
組合に対時することで、一層、経営全体への心配りができるようになるという狙いであった。 ここにあるのは、取締役議論は大いにやる。
しかし結論が出ない。 「ワイガャ」もいつしか論壇風発にして結論回避という状況を呈していたようである。
これはカリスマが去ったときの企業に共通して見られるものであった。 方針先送り症候群。
今日のSにしても、技術社員からは「Sは結論が出てこない会社になった」という嘆きが聞こえてくる。 会議は数多く開かれる。
しかし最終結論は次回に持ち越される。 技術者としては、商品仕様を固められずに設計が遅れる。
決定したときには、発売予定日が近づいて研究所で4代目のアコード(89年発売)の開発に携わっていた頃の経験ですが、とにかく意思決定が遅くてイライラした。 社内のうるさそうな幹部のところにご意見伺いして、それを基に開発案を修正し、会議に持っていくんだけど、ひつくり返る。

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